風に捧ぐ/opus
 
飛沫が顔に当たる
水着姿の凛子が
ビニールプールではしゃいでいる

煙草をくゆらす
真っさらな空気に
白い煙が立ち上る

ふぅ

太鼓の音頭
暗がりの眼玉
狐のお面

「紫色の芋虫が貴方の前世で、
今はもう一匹も残っていないさね。」
皺くちゃのババァがそう言って
そそくさと去る

肩を叩かれる
振り返ると頭の無い友人が
「気にすることは無い。
僕も前世はドクダミだ。」

とんとんとん
包丁がまな板に打ち落とされている
とんとんとん
均一なメロディ
とんとんとん

ありがとう
君には本当に感謝している
でも、
もう少しだけ
瞼を閉じ
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