どこかの庭で/ただのみきや
 
緒だね」

福寿草は黙って眺めている
風に欹てながら 
時折さわさわ 独りごと


クロッカスの寿命は短い
数日で萎み 枯れてしまう
枯れる時もみんな一緒

福寿草は枯れずにいる
茎には細かな毛
少しだけ逞しくなって

「おれは太陽の親戚だからな
   ひとりでも十分やっていけるのさ」

だけど時々訪れる
アブやハチにはずいぶんと親切だ
まるで

「まだ いいじゃないか
   もっとゆっくりしてきなよ」

そう言っているみたいに



             《どこかの庭で:2015年4月8日》






戻る   Point(17)