どこかの庭で/ただのみきや
緒だね」
福寿草は黙って眺めている
風に欹てながら
時折さわさわ 独りごと
クロッカスの寿命は短い
数日で萎み 枯れてしまう
枯れる時もみんな一緒
福寿草は枯れずにいる
茎には細かな毛
少しだけ逞しくなって
「おれは太陽の親戚だからな
ひとりでも十分やっていけるのさ」
だけど時々訪れる
アブやハチにはずいぶんと親切だ
まるで
「まだ いいじゃないか
もっとゆっくりしてきなよ」
そう言っているみたいに
《どこかの庭で:2015年4月8日》
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