田代 深子氏の3作品/Dr.Jaco
かに個人差がある。要は自分の切望だけが見えている人もいるだろう、ということだが、作
者は肉感的に感じ取った他人の切望をも表現すべきもののリストに加えてしまった。文豪の生涯
とか生き様とかに興味はないけれど、こういった雰囲気の感知は「相通ずる」のではないか。
ところでカッコつけて「相通ずる」なんて書いたが、書いた本人が「相通ずる」って何か、明確
でないことも白状すべきだろう。作者もこれだけの書き続けてなお書き続けるのだから同んなじ
かもしれない。作者のモチーフは書く動機そのものかもしれない。
だが、「裏返り」したり「歌う」ことを続けたりして突破したいという作者の心意気は、私なり
に感知できたと思う。
ただ、方法として、作者の状況を言うのか、「雷鳴のごときフレーズ」や「真に新なるフレーズ」
を作者なりに出してみるのか、厳然と区別があると思う。
ある日突然、「適当にちぎっては投げ」たようなフレーズを作者は書くかもしれない。
その時、静寂のクレーターが私の心で激震するかも。
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