あなた/葉leaf
 



あなたは私という平原を流れていく一筋の川
涼しい亀裂を走らせながら光として流れていく
あなたの源流はもう去ってしまったし
あなたの流れ着く海はもう干上がってしまったので
あなたは存在するはずもない川
それでも私にいつまでも潤いと支えを与え続ける慈愛の川

あなたとかつて交わした言葉、表情、ふるまい、微笑み、
全てが微細な粒子となって私の夕暮れを明るく照らす
私はどんどん若さを解体していくし、社会を構築していく
だが粒子となったあなたはいつまでも若く
ときには一塊の花弁となり私のてのひらに憩う

幾つもの恋とその終りを経ても
なお残り続けるあなたの微笑み
あなたはもはや他者ではなく
私が私を愛するように私はあなたを愛する
自己愛が決して消えないように
あなたへの愛も決して消えない
もはや会うこともないあなたに私はいつも会っている
こんな孤独な夜にでも

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