ザッツ;泣き女/アラガイs
る素振りをしておけばよかったのだ。
書き直しながら、わたしはあの震災を目撃する前後の出来事について思いを馳せていた。
これは和尚自身が語っていたこと
つまり忍耐とは己が認めて堪え忍ぶもの
それは、そうだが…
…あのときも真っ先に駆けつけたのは被災者を装った泥棒たちだったではないか
気づいたのはあなたが瓦礫の片付けに追われ、女たちの涙も尽き果てた後に…。
途中クロガネモチの実が付いた枝先を手折りながら
、ふっと、いままでの記憶が交錯していたことに気がついた
鐘の音は響かない
麓の村人はそれに気づきもしないだろう
若い僧侶が山門をふり返って見上げたのは
それから一里ほど山道を下った古い礎石跡の前だった 。
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