16月生まれのぼくらは/オダカズヒコ
い
男たちは知っていた
赤ん坊に宿る魂はここにはない
居眠りを始めた男が見た夢は
昔王国があった場所で
文盲の男たちが会議をひらいているところ
ネクタイをゆるめ
額の汗をハンカチで拭う
眼鏡を押し上げ
ババを引かないよう目を伏せること
やっぱりここには
赤ん坊の魂なんてない
甘いブレーキ
繋ぎ止めたいタッチ
黙ってやってくんの愛
やせ細った幽霊に
赤い血が流れてる悲しみ
黙ってくんの愛
流れてって血
墓地に埋めた幽霊
服脱がして女とパラダイス
繋ぎとめたって愛
一度だけ世界と人間の質量が同じだったとき
そのバカみたいなバランスに凭れ掛かって
ぼくらは朝焼けの国道に寝っころがり
恋人とキスをした
軽く永遠を誓い
一度に10万頭のゾウを殺せるくらいの力で抱き合い
ゆっくりと背中を起こす
妊娠している女のお腹の中でみるみると太陽が膨らんでいく
背中で苦しみが染みのように広がってく
黙ってくんの愛
繋ぎとめたって愛
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