目覚めゆく魂/
為平 澪
その深淵にいて 私を柔らかくするために
あなたは私について語りながら 水を汲み出す音を味わう
強がり続けた私の踵を 足先からあなたは抒情詩でくるみつづける
長い指が弾き出す旋律は 目の前の少女が女の顔に消されて逝く慟哭
私の脳裏に幾つもに亀裂が走り
私の強さをしなやかにしたたかに織り変えていく
あたたかい手つきが奏でたその端が差し込まれると
唇から沁みる 初めての潮の記憶をたどる
ああ
私の部屋で一本の針葉樹が伸びていこうとしている
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