可哀想なデブ/花形新次
 
えっ?そんな・・

僕がみんなの前で
別れの挨拶をしているとき
泣いているきみに気づいた
他には誰もいなかった

「俺、あの娘に金貸してたっけか?」

その日は特に何もなかった
翌日の昼
その娘から
ひとつ多く注文した
弁当を食べてと渡された

良い娘だった
とても優しい娘だった
でも、それだけだった

扱いは
可哀想なデブそのものだった

それ以上には発展しようもなかった
だって、俺、結婚してたし。

戻る   Point(1)