ミーナ/ホロウ・シカエルボク
る命でさえ途方もない哀しみを伴うのに、こんな別れを受け入れることが出来るはずもなかった、そして彼は、妻のこと、ミーナの母親のことを思った、彼女はきっと自分よりもずっと辛い思いをしているだろう、と彼は思った、そのことを思うといっそう胸が絞めつけられた、なんとかしてやらねばならない、彼はそう心に決めた、俺が苦しんでいる場合ではない、と―いまはなにも言えなくても、そばに居てやればきっと彼女の心も癒えるはずだ、そして初めて、犯人への怒りに身体が震えた、警察で聞いた話は、とても正気で聞いてはいられないものだった、愛しいひとり娘がそんな目にあったなんて耐えられなかった、どれだけ泣き叫んだことだろう、どれだけ俺
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