春/葉leaf
 


生命の芽吹きは死と同義
草木が芽吹いているのではなく
死が咲き乱れている
春に漂う死の破片は極めて正気で狂気のかけらもない
この緻密に計算された春の死に私の感情も巻き込まれる
新しい職場や新しい仕事や人間関係
全てが更新され死んでいく中
私の影も死で満たされる

この熱病のような陽気の中
私は固くスーツを着込み襟をそばだたせる
この自然の宴会はあまりにも危険で
隠れた殺戮が陰湿に乱舞している
その殺戮の粒子が刺してくるので
防毒マスクをかけた私はひとり温かさに堪えている

春は傾きながらも均衡を目指している
死や殺戮もまた一つの大いなる均衡で充実する

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