泣き虫/baby bird
 
今日もあの娘が泣いている
とても暗い雨の中で
黒く濡れたアスファルトの上で
一人声を上げて泣きじゃくっている

いつからか瞼の裏側に張り付いていたあの娘の
笑った顔を恐らく僕は見たことがない
何故泣いているかはわからない
どうすれば泣き止んでくれるのかもわからない
泣き止んで欲しいのかもわからない

ただ決まって気分の沈んだ眠れぬ夜の終わりには
あの娘の泣いている姿が見える

名前も知らないあの小さな少女の姿だけが
脳裏に焼き付いて離れない
戻る   Point(1)