三陸鉄道〜その瞳をみていたら〜より/黒木アン
慈駅
「あんやー
どっからのお客さんだべ」
お国の言葉に
南部せんべいを頂きまして
すいた小腹にちょうどよくて
此処もまた誰かのふるさと
流れているのは古風な時
小袖海岸
北限の海女さんは
ウニ、アワビを素潜りで
海を響かせる大空の雲
海を響かせる女の花形
駅舎におり
海に添い
舟うごかす人に
鳴く鳥に
花に風に月に雪に
岩手の人に
いづれの眺めも
美しく心地よく
汁にもひつにも
満たされました
昔と今に語られる
贅沢な旅
ご乗車を
ありがとうございました
枕木に残した余韻に
またいつの日か
いつの日かまた
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