夜明けの旗を/りゅうのあくび
色褪せた地球儀には
太陽から日射しがさしこんで
ずっと遠く
大海のなかで
夜空を越えて朝は始まる
温かい珈琲をいれて
まるで真夜中の色をした液体を
飲み干すように
漆黒のなかで
沈んでいた夜明けは
凛とした朝を
いつのまにか迎える
失恋をした記憶に
少年時代の傷跡はすでに見えはしないのに
海のない街へと
引越しが始まるみたいに
僕らは真実ばかりをほしがっている
朝のひかりは
いつもの窓辺からただ
こぼれてくるだけなのに
物静かな静寂がある
一瞬と永遠はとても似ていることを
解き明かそうとした歳月と
まるで手紙のような報告がある
切ないけれど
あらゆることは
何かの歴史と忘却のあいだにあって
その未来には誰しも
ささやかな幸せを待つ
恋愛至上主義の旗を掲げる
天使たちだって
いるはずなんだろうよ
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