日本一小さな港*小良ケ浜漁港/黒木アン
 
いい農村がありまして

春の訪れは
れんげ草に
すみれの花へと
少女たちをさそい
揺れる枝の下で
七重八重の花びらを
ゆるやかに
川に流したりして
一斉に芽吹いた
草木の香りの中で
瀬音をきいて
おりました

山野の恵みは
大自然の傍らで生まれ
雀隠れに
菜飯の弁当をひろげて
里では忙しく
農作業がはじまる
緑の時

すいこんだ雨露に
甚平と風鈴は
道草をした夕暮れにも
優しくて
鳴鳥の音のここちよい
川面を眺めながら
静かに足を冷やし
入道雲がわく青き空に
迷う時も
水平線は
かわらずにいたのに


祭りと短い夏海を
一気
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