そのカーブへ/霜天
右へ左へ
そのカーブへ
踏み込んだブレーキの
深さだけで
越えて行く空間の
流れていく時間を
揺れること
その外側へ
死角に入り込んでは
動けない
行き先を告げる案内板の
その先を知らないままの
いつまでも
進むこと、進むこと、左の空が曇りでも
車中で揺られ見る夢は、懐かしい背丈で走るだけ
帰り道
泣き顔で
ヘッドライトに照らされて
迷うはずのないもので
迷いっぱなし
そればかり
頭を下げて
夢を見る
走る車窓に体を沈めて
右手が空に届く頃
待ち焦がれのことばかり
眠りの中で騒ぎ出す
いつだって
探すこと、探すこと、右の空が遥かでも
景色の中で見つけたものは、時計の針の進め方
距離をひとつ
近くなる
それとも、どこか
遠くなる
こころの角度
迷うばかりの
踏み込めない足跡で
そのカーブへ
その先へ
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