純粋痴態/ただのみきや
 

死者だけが存分に話し相手
少年を脱いだ少年の
胸が肋骨が爆ぜるように咲いて
巣立って往く 語尾に紅い澪引く鳥よ
透明な呼名の囀りが感覚からほどけて
――ナニヲワスレタノカ
    モウ オボエテイナイ
混濁しない涙は魂の外殻を侵食し
穿たれた穴から触手は探し続ける密やかに
白い模倣の覆い布
可視不可視多重構造四角い箱を彷徨って
――アアぅうああァぁぁぁメクれるよオゥゥぉぉ
痴態は演じられるものではなく
――イイイアァぁぁうおオぅぅネジれるよォォゥ
晒してしまうもの
純真無垢な
ゐっこの
――何か
生と死が交じり合う腐葉土の見る夢のような
失くした『 』の記憶
ふと
遠く電車のように



             《純粋痴態:2015年3月22日》







戻る   Point(14)