ヨシノさん/nonya
 
ん張って
里山の霞んだ空を仰いで

川面に無常を浮かべて
出会いと別れを縁取って
コンクリートを上気させて
薄紅色の風の音符になって

人のときめきとぬくもりで作られた
クローンなヨシノさん達は
人の喜びを
うららかに微笑み
人の哀しみに
やわらかく寄り添う

今日のさくら公園の
クローンなヨシノさんは
奥床しい三分咲きだけれど

彼女のおちゃめなDNAは
少し目を離した隙に
満開になってやろうと
目論んでいるんだろうな



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