卒業/
黒木アン
消えて去る路と知らず
ある日と変わりなく
嗚呼
鮮やかに君が行く
小さな声にも手にも
既に懐かしむと知らず
嗚呼
朝陽をうけて君が行ってしまう
母はいつの間にか
太陽に近づいていく背を
留めてしまいたいと…
君の足音となり
君の匂いとなり
君の音となった
時の精霊たちに
祝いの送りを
交錯を刻んだ
恩の送りを
麗らかな
春がきてしまいました
嗚呼
君の巣立ち時
雪柳の揺らめきが
桜蕾を膨らましています
それでいいのよ
それでいいのよと
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