天使の季節/捨我
 
羽が無いこと嘆いた天使が
遂に飛んだとウワサで聞いた
それはある冬のことでした
かじかむ冬のことでした

僕が机に突っ伏して
袖で机上を拭う午後
彼女は行方をくらまして
既に飛翔の途中ごろ

あの空の向こう
何を見たのだろう
乾燥した空気の中
感想聞く勇気もなく

いつかの冬のことでした
天使の羽根が舞い散って
かじかむ冬の午後でした
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