動詞/為平 澪
 
でも、、

飛行機は私だけを赦して 飛び去って逝く
誰の背中に乗って ここまで来てしまったのだろう
誰の背中に寄りかかり ずっと泣いていたのだろう

 (流れるまま 炎のように生きなさい
 (浄化の源泉を 湛えて歩め

「愛する」ということに 「疲れてしまった」人の、夢の中で
私は「愛せる」というふうに 現れる

    緋色にゆらりゆらりと ゆれる夜の焔
    決して焔に溶けない 蝋燭が二本
    枯れないカーネーションを 活けつづけ
    ひび割れた老眼鏡を 置く

旅去った者たちよ
私はあなたがたが名付けて遺した 唯一の動詞だ

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