終わらないもの/木立 悟
光の格子と格子が重なり
水のように空へ昇る
光を内に持つものが
ひとつまたひとつ消えてゆく
空より早く目は翳り
屋根の滴を欲しがっている
幻でしかないふたりは終わり
わたしはすべて わたしに還る
多くを振り 多くを振る
積もるものが隠せるわずかなもの
けだものの息のように
手のひらを燃すもの
右を振り返ると居たものが
左を振り返ると既に居ない
同じ時間 同じ場所
誰もいない径
何もいない道
未踏の地の踊りを握り
階段だけの建物に放つ
のぼりつめても何処にも着かない
でたらめな地図に似た光
空を進む水が
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