終わらないもの/木立 悟
 




光の格子と格子が重なり
水のように空へ昇る
光を内に持つものが
ひとつまたひとつ消えてゆく


空より早く目は翳り
屋根の滴を欲しがっている
幻でしかないふたりは終わり
わたしはすべて わたしに還る


多くを振り 多くを振る
積もるものが隠せるわずかなもの
けだものの息のように
手のひらを燃すもの


右を振り返ると居たものが
左を振り返ると既に居ない
同じ時間 同じ場所
誰もいない径
何もいない道


未踏の地の踊りを握り
階段だけの建物に放つ
のぼりつめても何処にも着かない
でたらめな地図に似た光


空を進む水が
[次のページ]
戻る   Point(3)