俄詩人が絶滅する日まで/花形新次
 
俄詩人1.

私以外の
人間は
狡くて
嘘つきで
冷酷で、残忍だから
大嫌いだけれど
怖いから
心の中で密かに
みんな流されてしまえ!
と思っていたら
本当に流されてしまった
すると
そんなことを考えていた
私のせいかも知れないと
言う気がしてきて
居たたまれなくなったので
鎮魂の意味を込めて
詩を書いた
ああ、もうこれでいいや
大満足!
と思っている

俄詩人2.

テレビを見ていたら
今までにない感情が
沸き上がってきて
何か私にも出来ると思った
楽器は弾けない
絵も下手くそ
そんな私に
何が出来るか
そうだ!詩だ!
これなら紙と鉛筆さえあれば可能だ
机に向かって
感情の赴くままに筆を走らせる
国語の成績はずっと2だった
詩は愚か本も読んだことがない
それでも一心不乱に書き続けた
ネットに投稿したら
大評判になった
あなたの詩を読んで涙が出ましたと
言われた
私は今日から
押しも押されぬ
正真正銘の詩人だ

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