彼岸/秀の秋
若松の義母の墓参りに行った。
墓は、高塔山の尾根の奥の墓苑にあり、
左眼下には洞海湾が広がり、その向こうには皿倉山が見えた。
義母の墓域の雑草をとった後、妻は持ってきた花を飾り
二人手を合わせてお参りをした。
寒く灰色だったこの冬も、今日は青白く晴れて
昼過ぎのこの墓苑ではもう初夏のような暑さだった。
見渡すと延々と続く一面の墓石の列
白黒金文字高低大小何々家の墓
彼岸との境のここも、あるいはここだからこだわる威勢の形か。
それぞれの墓石の下には
一つあるいは複数の骨壺が暗い空間で眠っているのだろう
人生は
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