彼岸/秀の秋
 
  若松の義母の墓参りに行った。
  墓は、高塔山の尾根の奥の墓苑にあり、
  左眼下には洞海湾が広がり、その向こうには皿倉山が見えた。
  義母の墓域の雑草をとった後、妻は持ってきた花を飾り
  二人手を合わせてお参りをした。
  
  寒く灰色だったこの冬も、今日は青白く晴れて
  昼過ぎのこの墓苑ではもう初夏のような暑さだった。
  見渡すと延々と続く一面の墓石の列
  白黒金文字高低大小何々家の墓
  彼岸との境のここも、あるいはここだからこだわる威勢の形か。
  
  それぞれの墓石の下には
  一つあるいは複数の骨壺が暗い空間で眠っているのだろう
  人生は
[次のページ]
戻る   Point(2)