風/佐藤伊織
 
ことばのすみかに
ぼく といった


こうして 坂の上で出くわした
風景のように ぼくはいった


古ぼけた7階建てのマンション
のエレベータ

屋上にはあがれないから
階段では怪しまれるから
溶け込むように
あるいた

ぼくはいつか
そういって
すこしだけわらっている


ざわついている
足音も
すずめも
時々しっぽだけがみえている
あのふたつの影すら


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