ラーメンと日本人 ★/atsuchan69
と匂うスープを
メラニン樹脂の蓮華で掬い
悲しい目でしばらく見つめると
思い切ったように口に含んだ
その幾秒かの後に、
すっと、立ち上がりレジへと向かう
何がイケなかったのだろう
言葉とか文化とかだけではないような気がする
結局、
お前は逝っちまった
中国で生まれ、
戦後、日本が育てた
安くて美味しい、
あのキタナイ店のラーメン
がんこな親爺が妙なこだわりを一生涯通し、
秘伝のスープとかに心血を注いで
たかがラーメン一杯を、
「おう、どうだい」って顔で出してくれた
やって来る客という客はヤクザを除いて貧乏人ばかり
それでも親爺は自慢のラーメンを
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