ラーメンと日本人 ★/atsuchan69
マイナス16℃のニューヨークで
外では行列が出来ている
超有名人のやって来る
そんなゴージャスな店の中で
お前は、すでに死んでいた
だらしなく延びきって、
下品な臭いのするスープの中で
トッピングの華やいだ飾りだけが
妙に和のテイストを感じさせるだけの
単なる見世物に成り下がってしまったお前が、
哀れにも茹ですぎて膨らんだ姿を
海苔だの半切りの煮卵だの
でっかいチャーシューだのに埋まって
ただ沈んだまま息絶えていた
それを静かに啜りながら、
はるばる日本からやってきた
身形のよい老紳士は
眉間にしわを寄せて言葉なく愁いていた
お前の死を悼み、
ツンと匂
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