ひとつ ほどいて/
木立 悟
額は動くが
絵は変わらない
雨と墓を
行き来する指
鏡のなかの曇に
花に覆われた坂が重なる
朱と金の衣の子
水色の糸を解いてゆく
紙の耳を持ち
花びらを持ち 宙に浮く
小さなからだから
降りそそぐ色
夜の雨が響いている
裸の子が薮のなかに消えてゆく
羽の失い絵と
誰も映さない鏡の前に
朱と金の衣が残される
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