春、濁り/
北井戸 あや子
窓の結露を拭き取れば
むこうには霧がたって
ふくらみだした蕾の群れ
まばらにかたまって
微睡みの中のようにぼんやりとある
春は病み、桜は病気を体現する
まだ冷たさを保っている
寒さは宙へ投げ出された身体のように
壊れる事を知っている
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