la pluie de sirop/木屋 亞万
233; de Bordeauxの蜜蝋が破裂して
ポケットに蟻が群がる
蜜月のときは近い
燃料が枯渇して針がEに触れている
底の線を削り取って無理やりFにしたとして
なめらかに走り出すほど甘くはできていないらしい
ほかの生き物を口から放り込んで
補給しないと走り出さないなんて
物騒だとは思わないか
水と光だけで生きていけたらいいのに
木さえ屍肉の蜜を吸う
冬が潔く去ることができないので
寒さをいつまでもぬぐいきれない
死を養分に咲く花と
甘さの残る酸の雨
蜜柑の声はしわがれて
メジロはサメの餌になる
目覚めなければ朝は来ない
ギターの奏でる階段を昇れ
虹の中心にはいつも
見えない穴が開いている
そこへ向かって走り出すのだ
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