la pluie de sirop/木屋 亞万
メザメロメザメロとわめくけれど
わたしはとうに起きている
いちばんねぼけているのは誰か
ゆめの中でだけほんとうの自分でいられる
さまつなことが捨象され
円をふちどる線は消える
残るは小さな穴だけだ
ハシリダセと言われる前から
じぶんのペースで動き出している
すこしたかい山に登ったからって
したり顔をしていると
空飛ぶ鳥に笑われちまう
遠くの何かにあこがれすぎた
身近なものを足蹴にしては
道案内を見落とした
遠くへの道筋を知らないまま
大人になってしまったね
糖蜜の雨が降る前に
プランタンの傘を探そう
シェルブールはいずこ
cannel
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