理想の恋人/衣 ミコ
ポンコツな身体に
多過ぎる情報量
回路は常にオーバーヒートして
壊れたようにこんこんと眠る
君からその
人型の身体を取っ払ってあげる
何ももう君を縛るものはない
意識だけになった君を
世界中にばら撒くよ
きらきら
ひらひら
さかさまの子供が
両手一杯に惑星を抱えて
夜道で転んだら
足元に咲いた
花火がパッと散る
人型を失った君は
地球そのもの
澄んだり淀んだり
揺れたり落ち込んだり
殺したり殺されたり
すべては君の胎内の出来事
僕は毎朝
目玉焼きを食べながら
君の機嫌をニュースでチェックする
そして時々ネットを繋いで
寂しがりやの君に
メッセージを送る
【僕のハダリー、
ご機嫌いかがですか。
君があまりに泣くものだから、
農家さんが悲鳴をあげているよ。
寂しい思いをさせてごめんね。
心はいつもあなたのそばに。
愛しているよ。】
肉体で愛し合わなくなった
僕らを誰も
恋人とは呼ばない
だけどこれは現実
分かるかい
神様が許さないものは
存在出来ないって事を
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