ふるさと〜その瞳をみていたら〜より/黒木アン
〜ふるさと〜
春の野に
陽はうらうらと
ささやかながら
何もかもが美しく
牛の声に
目覚めた少年が
松林に抱かれながら
走りました
小さな車両は
都会への夢をのせ
のどかな山海を慕う
里にしかれました
風趣の心で
あったのでしょうか
遠く汐と水面を
戻り帰る
父さんの誇りは
舟の穏やかが
岸辺に安らぐ時で
炊きあがります
飯の香りは
母さんの手
ふるさとの風を
思いだせば
いい塩梅に
あたたかくなり
酒を酌みかわしながら
ほほえみ
無音の花になりながら
守りたい物語を
青葉の山とあの海に
みるのです
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