群像/飯沼ふるい
ツや鏡、暖色にまみれた時間、
窓の向こうの海浜公園から花火がうち上がる、雅やかな光の輪、もはや体温だけの男。
目から彗星のようにとめどなくこぼれた、意味と、水風船の破裂するようなびしゃびしゃの景色が、
饐えた臭いごと肛門に注がれ、指を首へ殺意のように絡め、銀が散り、塵が舞い、夜はあぶれて、
五時、水平線の底からたち昇る古い友人のような朝焼、部屋に残された指輪とコンドームが、他人事のように輝く。
※
これらは全て、明日をも知れない若い新橋のホームレスが仕立てた、平坦な悲劇の妄想です。
「かつて」から「いつか」にかけての時制の間、皆さんの身に起こってもよかった事実の目録で
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