群像/飯沼ふるい
うな胡散臭い曇天が、吾妻山の山体を覆い隠した。
雪片がそこから無軌道に落ちて、土塊を埋めていった。
老人の渋面みたいな梨木の皮膚が孤独だ。
お天気カメラに映る数人の死者が孤独だ。
そういう同質さは繰り返される。
私の境界も、
一生分の永遠のうちに切り取られ、
身震いし、崩れていく体。
身震いし、崩れていった町。
埋め合わせの、
夢見がちな言葉が群がる。
※
今、と言ったときの過去が幾度となく去来して、私、と言ったときの過去が幾度となく去来して、未来、へ進もうとする意志が宇宙と並行して走っている、今。
※
201
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)