私はミルフィーユ/コトバスキー
ミルフィーユの中にいる
千の私
ナイフを静かに入れてみる
ほのかに甘い香りがして
作り甲斐があったなと
一応自分を褒めてみる
作るよりも食べるほうが難しい
ミルフィーユ
少しクリームがはみでても
えいっと口にフォークを
押し込む
イチゴの甘みをクリームが
柔らかく包み込んで おいしい
けれどパイ生地君が邪魔をする
しかしサクサクっと案外楽しい食感
悪くない
異なる味わいの中で幾重にも重なる
千の私
午後三時のティータイムに
口の中で広がる
千の私
戻る 編 削 Point(4)