術後/草野大悟2
 

 大丈夫だ。
 焼灼を続ける。
三十分後、ようやく出血が止まった……。
 陽子の脳膨張が嘘のように消退してゆく。
 Goatexで硬膜を縫合し、骨片は除去したまま、外減圧の状態で、皮下をバイクリル、皮膚をステイプラで閉じ、オペを終了した。
 オペ開始から四時間五分がたっていた。全身にこれまで経験したことのない疲労感が残った。
 術後、陽子をICUに入れた。
 十二月十五日までの一週間、意識レベルJCS100の状態が続いた。
 MRI撮影の結果、右の中脳に脳ヘルニアが認められたことから、これが意識障害の原因と考えられた。また、右と左の瞳孔直径が異なったことも予後の障害が強く残
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