術後/草野大悟2
左側頭部橋静脈からの出血を止めるため、バイポーラーで焼灼したときの肉の焼ける臭いや、焦った気持ちまでもがまざまざと蘇ってきて、村中を慌てさせた。
陽子は、これからも川平法を取り入れた最新のリハビリを受け続けるだろう。少しでもオペ前の生活に近づき、QOLを向上していって欲しい。村中は、心からそう願った。
やっと書き上げた手紙をプリントアウトして読み直し、何カ所かを訂正して封筒に入れた。「明日、必ず投函しよう」村中は、気持ちを確認するように呟いて、パソコンの電源を落とした。
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