術後/草野大悟2
藤STによるリハビリも、同じ時期に開始された。
陽子は、この半年間、食物はもちろん、水も口から摂ったことはなく、胃瘻による栄養補給を受けていた。
「先程説明致しましたとおり、当院に佐藤さんがおいでになった時点では、左半身の拘縮が特に強く、また、嚥下能力も著しく低化していました。佐藤さんの場合、うちでリハビリできる期間は百八十日間です。この間にこれらの後遺症改善のため最大限の努力を尽くしていきます。しかし、まあ、村中先生、大学病院ではどんなリハビリをされていたんでしょうか?」
前田が村中を真っ直ぐ見つめて訊ねた。
「うちのリハビリは正直、ここと比べると力は劣ります。それに……、うちの医局
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