術後/草野大悟2
 
部屋に行くと、陽子のベッドは空で、『リハビリ中』の札が下がっていた。
 村中は、病棟に併設して建っているリハビリ棟に向かった。
 体育館のように広いリハビリ棟では、何十人という患者がリハビリを受けており、陽子を見つけることは容易ではなかった。
 入口近くにいた女性職員に身分を明かして、陽子の所在を訊ねた。
「すみません、今、部長を呼んでまいりますのでしばらくお待ち下さい」
 女性職員は小走りにリハビリ室奥の部屋に消え、代わりにメガネをかけガッチリした体型の男がやって来た。
 男は、「リハビリ部長の前田です」と、名刺を差し出し頭を下げた。
「村中先生、院長から話は伺っております。

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