幸せな人/葉leaf
小さな達成同士が激しく作用し合うことで幸せは構成され、泥とともに身体全体に刻印を残していく。
最も幸せな人は日光の中に住んでいる。日光という太陽の権力を華麗に身にまとい、地上の全ての物質のすみずみへ、光りなさいと指令を下す。もともと太陽に愛されず太陽を憎んでいた人が、愛されることを求めずいちずに太陽を愛した結果、見事に太陽の愛を勝ち得て太陽と幸福な主従関係を結んだ。太陽の寵臣として、物質を光らせる権力をほしいままにしている。
最も幸せな人は風の中に住んでいる。気まぐれな風は起こったり鎮まったりするので、その度に生まれたり死んだりを繰り返している。存在と不在が風の気まぐれで明滅し、存在が裏切られる暴力に身を委ねる快楽が天を走っては消える。それでありながら、風の細かな方角を決めるのはその人なのだ。風を操る人は、風と共に大気の均衡を激しく崩し、風と共に大気の均衡の中に死にゆく人でもある。
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