最終回ジグソーみそ汁/吉岡ペペロ
ないのだろうか。
母が居間に入ってきた。とたんに父の雰囲気がかわった。
嫌だなとは思ったけれど、けれどけれど、ぼくは子供たちにもっと嫌な思いをさせているのかも知れない。
この感情がぼくを落ち着かせた。昔からそうだったのかも知れない。
母を殴る蹴るものを投げるものを壊す父。ぼくはこころのどこかでそんなときいつも申し訳ない気持ちになっていたような気がした。ぼくのせいではないのだけれど。
働いていたころはこの感情を押し殺していたと思った。
妻と暮らしていたときもこの感情を押し殺していた。
誰かの役に立たなければ人生に居場所はなかった。
申し訳ありませんだな
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