8ジグソーみそ汁/吉岡ペペロ
 
妻のため?父や母のため?なぜかどれもパラルのためと思ったときほど切実ではなかった。

バイト先に着くと高校生の自転車があった。

ぼくと交代だろうか。かぶるのだろうか。いずれにしても話すことなんてなかった。

ぜんぶ話してしまったような気がしたから。そして高校生の話しを聞こうとはまったく思わなかったからだ。

着替えて店内に入るまえケータイをのぞいた。

着信と録音があったから聞いたら弁護士からだった。

署名とか押印した書類が指定日を過ぎても来ないからかけてきたようだ。

ご不明な点があるようでしたら明日お会いしてご説明します、とのことだった。

段ボールの湿気た匂いがまとわりついてきた。

ぼくは爽快な気分になりたくて明るい店内に突撃するようにして入っていった。






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