冤罪(えんざい)/……とある蛙
 
黄砂の舞う交差点
目を細めて上空を窺う
直立不動の小学生の左手には
やや大きめのファーストミットが

反対側の信号機の下
サイドスローの怪人が
華麗なステップで卵を
直立不動の小学生に向かって投げ込む

横断中の私は
突然現れた小旗を持った
短パンのアンパイアに
アウトを告げられ
嘔吐を催した。

ふざけるな、何がアウトだ
などと大声で
アンパイアに抗議したが
彼は歯牙にもかけず無視する

ふざけるな、何がアウトだ
っと もっと大きな声を出して
アンパイアーの鼻先に
顔を持ってゆき抗議したら

突然、レッドカードを出された
本当に頭に来たので
持っている鞄を彼に投げ付けたのだが
彼はなぜか警察手帳を持っており
公務執行妨害 などと大声で叫び
叫ばれてそのまま身柄を確保された。

泥沼だか泥縄だか知らないが
とにかく私は監獄の中にいる
ここから抜け出す手立を考えているが
明日はもう裁判だ。時間はない。
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