ゾウの詩/宮木理人
 
に来て、こんな仕事をするようになったのか思い出せないし
ましてや収入すらもらったことがないから、これが仕事であるのかどうかさえわからない。
でもあたりまえのように、ゾウがくると床をきれいにしなくちゃと思う。
またゾウがきた。

モップをかけてる君とは
もうずいぶん長いこと一緒だが
ぼくは君の名前がわからないし、顔も性別も知らない。
ただ「君」ということしか知らない。
それを不自由だと思ったことはない。


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