7ジグソーみそ汁/吉岡ペペロ
胸に枕を敷いてうつぶせになって寝転んでいた。
そして自分の指を見ていた。
あんまり近すぎてぼやけた指だった。
あんなことのあったあとだ。
しばらくこうやって気を静めていよう。
ぼくは幽霊を見た。
映画をみたあと高校生のうちに行った。
平日だったから映画館では大人ひとり学生ひとりとは言えなかった。
うしろめたかったけれどいまのぼくにへんな気持ちなどないはずだった。
そういう気持ちはずいぶんと遠いこころだったからだ。
玄関で高校生とぼくはへんなおっさんに呼び止められた。
無視無視と言ってぼくはうちのなかに入れられた。
居間で夕方の
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