未来/アンテ
その後は末永く
ぬくぬくと暮らしましたとさ
で寓話は
おしまいです
きっと
ぬくぬくと太って
ぬくぬくと死んだのでしょう
巨大な筆でした
ある男が一生涯をかけた筆でした
これほどの筆ならば
きっと空に見事な一言を残せるだろう
みんな信じていました
けれどやっぱり
筆は空には届きませんでした
たっぷりと浸したインクが
ばらばら ばらと散って
街を汚しました
男は夜明け前に姿を消し
街は一年間
薪に不自由しませんでした
好きな人が怒っています
きらいな人が笑っています
大切な人が叫んでいます
知らない人が泣いています
顔を四等分にして
頭と
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