接続詞が足りない。/竹森
時間性をもたらす唯一の原理。
くたくたになってコンビニのアルバイトから帰宅した僕は真っ先に、祖母の部屋から持ち出してきた金色の指輪を左手の薬指にはめる。危篤の祖母が亡くなるまで続けるつもりのその行為には祈りにも似た確かな意図が込められている。あの人のした様に指輪を撫でていると結実されていくイメージ。その現象の発現に必要な相対反応として埋没していく、または浮かび上がってくる、僕が出会った多くの人や観てきた多くの風景の断片。精神世界における暗闇は僕らを圧迫する、まるで、海底で更に底なしの泥沼に呑まれてしまっているかのように。そんな時に、一粒の真珠を掴もうとする様に、希少な酸素を求めてもがき続け
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)