冷えていく鉄/木屋 亞万
 
った。一人というよりはまだ一台なのだが、じきにその人型ロボットの風貌にふさわしい魂を身に着けるのではないかと、その電子頭脳は予期している。可能性は限りなく0に近い。しかし完全に0というわけでもない。ないものがないということを言い切ることは、未知の領域への理解を閉ざしてしまう。ロボットにあらかじめ定型化されていた行動指針は、そう判断を下したし、それは実に正しく修正の必要のないように思われた。
ロボットは孤独だった。そして孤独を紛らわすものもなかった。ただひたすら押し寄せる寂寥感にさらされ、吐き気のするほど空白に耐えるしかなかった。もちろんロボットは吐かないし、泣かなかった。ただ充電するたびに、バッ
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