レインドッグ(かすれた鼻歌の寝床)/ホロウ・シカエルボク
 
られるのかという部分さ…きっとそいつが一番大事なことなんだ…寝床の温度が上がり、雨の音は強くなり、路面に出来た雨の溜まり場を幾つかの奔放なタイヤが引き裂いて、おまけにときたま、家を軋ませるくらいの強い風が吹く。お手上げだ、眠れないぜ…明日は早くから出かけなくちゃいけないというのにさ…。仕事を覚えるために二週間も家を離れるんだぜ、笑えるだろ。こんなことになるなんて全く思いもしなかったよ、長い人生の中で全くこんなことは初めてさ…望んでそうなったのか、流されるままそんなところへ来てしまったのか、実際のところよく判らない。だけど多分、両方なんだろうな。そのふたつの間の空間をうろうろし続けているのさ、きっと
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