4ジグソーみそ汁/吉岡ペペロ
には毎年家族で行った。
ちいさな山がそのまま梅園になっていて子供用のトロッコ電車がその梅園の目玉だった。
もうひとつの目玉は一杯百円のかす汁。
少々列ばなければならないのだが、梅の香りに酔い、かす汁に酔う。
子供たちは妻に弁当を持たされていた。
お父さんのぶんもあるよ、と言われてそれがもう当たり前ではないことが胸に来た。
パラルは元気?と聞かれて、元気だよと目線で振り返った。
ハラルは?ぼくが聞くと、死んじゃったとふたりが目を落とした。
いたたまれない怒りが湧きかけるのを感じて驚いた。
ハラルのあたたかさを抱きしめるように思い出すあふれ出す。
そうかあ、そうだったのか、ウサギだもんな、ウサギだもんな、自分を納得させるようにつぶやいた。
パラルは元気だからな、こんど連れて来てやるからな、約束するからな!
梅園の駐車場はまだ混んでいなかった。
ヤッター、ヤッター、トロッコ、トロッコ、ふたりが歌っている。
子供たちになにかあったらぼくにすぐ連絡は来るのだろうか。
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